俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「そして、加害したことにも気付かず『何のこと?』としらばっくれる。…罪の意識がない、おめでたい連中だよ…そうして、そんな人間の被害を受けた僕らは集まった」
「な、何だって…」
彼の言う『僕ら』とは、ひょっとしなくても。
『半人半魔』とかいう人たちだろうか。
「橘くん、君の言う『振り返る余地』だけど…与えられても振り返る余裕がないぐらい、凄惨な被害を加えられていたのだとしたら、どうする…?」
「それは…」
「人に助けてもらう?…誰も助けてくれないよ?この世界は残酷だ。牙を剥いてゴミクズ扱いされたヤツには、誰も見向きもしない」
「………」
…今、俺は。
そんなことはない、必ず助かる方法はあるんだ。
自分の実体験から、耐えて闇を抜ければ何かが必ずある。命さえあれば。
と、言いそうになった。
しかしそれは…。
「…橘くん。君の主張は、甘い甘い理想論だ。恵まれた、皆んなに愛されて育ったヤツの偽善論」
「ち、違うっ…!」
…それは、斜め上のこの人には通用しない。