SOAD OF WOULD
~エミネスside~
あれから、僕たちは捜索に出掛けた。
「ねぇ、ユウト。」
「なんだ。」
「森に入って5番目の木だよね。」
「そのはずだが。」
五番目の木の前で静かに寝ている人がいた。
「あ…この人かなぁ。」
「そうだろう。」
気持ち良さそうに寝ているが、
一応、此処…寒いんだけどなぁ。
今は真っ暗の闇。
「とにかく、捕らえないと。」
「あぁ。」
「……っ。」
「あ。今、喋った?」
寝ているはずの男は先程と違い苦しそうな顔になっていた。
「なぁ、コイツ早く王宮へ連れて帰った方が良いんじゃないか。」
「そ、そうだね。」
僕は、その男の子の隣にある短い刃物と彼自身に提げられている長い物を取りユウトに渡した。
「これで、起きても大丈夫でしょ。」
「あぁ。」
僕は、彼をおんぶする。
「つ、冷たい!しかも、軽い!」
「え?」
「彼、凄い軽いよ。ちゃんとご飯食べてるのかなぁ。冷たいのは当り前かぁ。ここ寒いし。」
「早く戻るぞ。」
「そうだね。」
戻る間も彼は寝言を言っていた。
「……か、かあ…さ…まを…こ…え…。」
最後、なんて言ってるだろう。
「とう…さま…まで…。」
王宮に戻ってきたころには寝言は治まったが苦しそうだった。