LOVE and DAYS…瞬きのように

「健……」
 

沸騰していた頭の中が急激に冷めて、冷や汗が流れる。
 

いつからそこにいたの? 

あたしのさっきの言葉も、もしかして聞かれた……?
 

ゆっくりと近づいてくる健吾。

その顔は、今さらこんな騒ぎを起こしたあたしに、いら立っているように見えた。
 

張りつめた空気の中、ミサキがよろよろと立ち上がった。


「健吾、見たでしょ? この女がいきなり来て、あたしにひどいことを……」
 

身振り手振りをつけ、健吾に訴えるミサキ。


あたしは気まずさに耐えきれず、顔をふせた。

反論しようと思っても、本当のことだから何も言えなくて。
 

どうしよう。


健吾を見るのが怖い。


健吾の反応が怖い――。



「……え?」
 


突然のことに、あたしは戸惑った。
 


ぎゅっとスカートを握っていたあたしの手を

突然、包みこんだ温もり。
 


それは……

あたしよりずっと大きい健吾の手だった。



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