クールな彼の甘苦い罠
遥野side




遥野side



「 ねえ、見た?稜矢くんめっちゃかっこよかった 」


試合のある体育館に着いてすぐ
稜矢くんと平石に会えた。


ユニホーム姿の2人はいつもとは全然雰囲気が違って、

「 よかったね、しっかり応援しないと 」

って 興奮気味の菜桜に言う。


もちろん、平石もかっこよくて。


席替えしてからはほぼ話す機会がなくなり、
久しぶりに平石と喋るとなると少し緊張する自分がいた。


階段を上がって体育館の観客席へ向かう。


Bコートで試合があり近くまで行くと

「 菜桜〜!こっちこっち!!」

って、前の方の席には同じクラスの女の子2人。

菜桜はみんなと仲良いから
私の腕を引っ張って呼ばれた方へ行く。


「 遥野ちゃんって 紫月と仲良いよね 」

菜桜の横に座っている茉由(マユ)ちゃんが私を見て言う。
私は茉由ちゃんと挨拶程度しか交わしたことがない、


「 そう?席近かったからね 」

茉由ちゃんが平石を紫月って呼ぶ方が私はよっぽど気になるけどね。

なんて思いながら答える


「 茉由は稜矢くんと平石と同じ中学だったんだよ 」

私の心の声が菜桜に伝わったかのようなタイミングで菜桜が言う。


「 そうなんだ 」

私はなぜかホッとしていた、


……なんでだろう。



< 50 / 92 >

この作品をシェア

pagetop