悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
今まで庇ってくれる味方はいなかったのに、迷いなく信じて守ってくれた。
息ができないほどつらい現場から連れ出した彼は、仮初めの旦那だというのに。
走りだす馬車の中で、ぽつりと声が届いた。
「お前は舞踏会の夜に、俺を悪役にしたくないと言っていただろう」
『この世の誰もが俺たちを裏切るに決まっている』
『それでも、あなたに悪役になってほしくないのです』
交わした会話が頭の中でこだまする。
噂や外見で悪役だと決められて、いつしか他人を信じられなくなっていた彼は、冷酷非情な獣であり続ける覚悟を持っていた。
でも、ベルナルド様は変わったのだ。少しずつ、たしかに。
向かい合わせで座り、まっすぐこちらを見つめた彼は、真剣なトーンで続けた。
「俺も同じだ。誰を敵に回しても、決してお前を悪役にはしない」
唯一私を理解してくれる彼が周囲から畏怖される陛下だなんて、誰が想像していただろう。
ベルナルド様は、こんなにも優しくて温かい。嬉しくて胸がいっぱいだ。