悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
「それは……ベルナルド様がラヴィスだったと知って、己の行動を反省したんです。有意義な休息を邪魔してはいけないと思って」
「ひとりで休みたいときはあの庭に行かん。あれだけ好き放題しておいて、今さら気遣いなど無用だ」
もしかして、それを伝えるために呼んだのかな。舞踏会を終えてから、庭で私が来るのを待ってくれていたとか?
そんな都合の良い妄想をしていると、隣から低いため息が聞こえた。
「毎日騒がしくしていたやつが急にいなくなって落ち着かない。この城では、好きに過ごせ」
大きな白い尻尾がぽふんと頰に当たった。ヒトの姿で耳と尻尾を出した彼は、半分獣に戻ったようだ。
すごい。本当に自由に変化できるのね。
久しぶりのモフモフに目が輝く。
「触るのが好きなのだろう?」
「いいんですか?」
「お前の手は慣れた」
無愛想な口調はいつも通りで、腕組みをして目を閉じているものの、尻尾で私と遊んでくれる。
彼が慈悲を持たない冷酷な獣と呼ばれているなんて嘘みたいだ。