悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
舞踏会から帰ってきて、ベルナルド様は少し変わった気がする。にこりともしないし口数も少ないままだけど、どこか優しい。
ヴォルランの姿のときは一方的に喋るだけだったが、今では私の話にちゃんと相槌を打ってくれた。
「ベルナルド様のお部屋にはアンティークの小物が多いですね。棚にもたくさん並んでいます。集めるのが趣味なんですか?」
「趣味というほどではないが、目にとまった品を飾っていたらいつのまにかこうなっていた」
ガラス製の棚には、綺麗な砂時計やオルゴールが整頓されている。興味を惹かれて眺めていると、その中に見慣れた小瓶があった。
「私が渡したコロン、捨てずに持っていてくれたんですね」
別れの餞別として作った花のコロンは、棚のコレクションに加えてある。てっきり処分されたと思っていただけに、喜びが込み上げた。
「甘ったるい匂いがした。実にお前が好きそうな香りだ」
ちゃんと使おうとしてくれたらしい。それだけで心が躍る。