追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
私たちの話に、おばさんが補足してくれる。

「魔王城にはもう伝わっていると思うけれど、結界の外に出た魔族による誘拐事件が起こったんだよ。あいつら、人間に魔族を売っているらしい」

「そんなこと、あるんですか?」

「ああ、そうなんだよ。魔族が人間の味方になるなんて、前代未聞だけどねえ。まあ、私も直接この目で見たわけじゃない。噂話を聞いただけさ」

「そうですか」

「でも、念のため、気をつけな」

「はい、ありがとうございます」

おばさんにお礼を言ってその場を離れる。

「なんとも不気味な話っすね、聖女様」

「そうですね。仕事が終わってから、シリルにも話を聞いてみます」

私を含めて自衛できる者はいいが、魔族全てが戦闘に特化しているわけではない。

それに、あの可愛くて小さなモフモフ――力の弱い下級魔族たちも心配だ。

「もし、八百屋のおばさんの言っていたことが本当なら、キーラン国は一体何がしたいのでしょう。魔族なんか誘拐して、どうするつもりなの?」

「人質……とかっすか? そいつらの命を盾に、うちの資源や食料を要求してくるのかも」

「それは困りますね」

人質を取られるたびに対応していてはきりがない。

私を見捨て、処刑しようとした国キーラン。彼らが一体何を企んでいるのか、今の私には想像ができなかった。
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