追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
※
その夜、私はシリルの部屋を訪問した。昼間の話が気になったからだ。
彼の部屋の前で立ち止まり、扉をノックする。
「何もなければそれが一番いいけれど」
予め、食堂を訪れたアルフィに話を通してあったので、シリルに伝わっているだろう。
すぐに扉が開いて、シリル本人が顔を出す。
「やあ、エマ! 待っていたよ」
笑顔の彼に、部屋の奥にある長椅子まで案内された。
「夜にごめんなさい。どうしても、聞きたいことがあって……他の人に確認しても良かったんだけど、食堂では他の人の目があるし」
「まさか、愛の告白!?」
「……違います」
シリルは無駄にポジティブだ。
「じゃあ何? アルフィからは、話の内容まで聞いていないんだ。エマの相談なら、何にでも優先して聞くと決めているから」
「いや、そんな決定はしなくていいですけど……」
そこで、私は市場で耳にした誘拐事件についてシリルに話した。
「……というわけで、その真相を知りたくて。シリルのところには、何かそういった事件の話は来ていますか?」
「わお、タイムリー」
「ってことは」
「来ているよ。今日はその対策について話していたところ。調査隊も派遣済み。国境については前々から問題になっていたんだよね。キーランへ抜け出す者を見つけ次第、捕らえてはいるけれど、国境全部を常時監視することは難しいからなあ。壁を作っても、魔法で飛ばれたら意味ないし」
森の外へ出るのは禁止されているが、人間の恐ろしさを知らない一部の若い魔族は、無謀にも人間の世界へ出かけていく。
そういった者たちは、人間の世界にしかない野生植物などを持ち帰って密売していた。見つければ都度捕縛されていたが、それでも周囲の目をかいくぐって動く者はいる。
幸い比較的森に近い場所での活動が多かったため、大きな問題になっていなかったものの、目は付けられていたのだろう。
その夜、私はシリルの部屋を訪問した。昼間の話が気になったからだ。
彼の部屋の前で立ち止まり、扉をノックする。
「何もなければそれが一番いいけれど」
予め、食堂を訪れたアルフィに話を通してあったので、シリルに伝わっているだろう。
すぐに扉が開いて、シリル本人が顔を出す。
「やあ、エマ! 待っていたよ」
笑顔の彼に、部屋の奥にある長椅子まで案内された。
「夜にごめんなさい。どうしても、聞きたいことがあって……他の人に確認しても良かったんだけど、食堂では他の人の目があるし」
「まさか、愛の告白!?」
「……違います」
シリルは無駄にポジティブだ。
「じゃあ何? アルフィからは、話の内容まで聞いていないんだ。エマの相談なら、何にでも優先して聞くと決めているから」
「いや、そんな決定はしなくていいですけど……」
そこで、私は市場で耳にした誘拐事件についてシリルに話した。
「……というわけで、その真相を知りたくて。シリルのところには、何かそういった事件の話は来ていますか?」
「わお、タイムリー」
「ってことは」
「来ているよ。今日はその対策について話していたところ。調査隊も派遣済み。国境については前々から問題になっていたんだよね。キーランへ抜け出す者を見つけ次第、捕らえてはいるけれど、国境全部を常時監視することは難しいからなあ。壁を作っても、魔法で飛ばれたら意味ないし」
森の外へ出るのは禁止されているが、人間の恐ろしさを知らない一部の若い魔族は、無謀にも人間の世界へ出かけていく。
そういった者たちは、人間の世界にしかない野生植物などを持ち帰って密売していた。見つければ都度捕縛されていたが、それでも周囲の目をかいくぐって動く者はいる。
幸い比較的森に近い場所での活動が多かったため、大きな問題になっていなかったものの、目は付けられていたのだろう。