追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
確認しようとシリルを見ると、いつの間にか獣型になった彼が、うるうると赤い瞳を潤ませて私を見上げていた。

「駄目?」

獣姿のまま、キョトンと首を傾げるシリル。

うう……その姿は卑怯だ。そんな可愛い姿で見つめられると断れない。

散々悩んだ末に、私は折れた。

「わ、わかりましたよ。お試しでいいんですね?」

今までと変わらないのなら、難しく考える必要はないだろう。私はキリルの提案を受けることにする。

キリルはフサフサの大きな尻尾をブンブン振りながら、私に飛びかかった。

私は体勢を崩し、廊下に押し倒されてしまう。

「わぷっ! キリル、こら、退いてください」

しかし、キリルはベロベロと私の顔を舐め回した。

「陛下、頑張ってくださいね! 応援しております!!」

アルフィはそう言い残すと、風のように廊下を去って行く。

――ちょっと待って、この困った魔王は、どうすればいいのー!?

取り残された私は、その後しばらく銀狐姿のキリルにベロベロされ続けたのだった。
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