追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「お疲れ様です。あの、これ、差し入れです。アルフィもどうぞ」

「わあ、林檎のいい匂いがする!!」

「奥で切り分けましょうか。紅茶も用意します」

魔王の執務室の置くには、小さなキッチンがあるのだ。前世ではなかったので、シリルが作らせたのだろうと思う。

「エマも一緒に食べよう。紅茶は僕が準備するよ」

前世で私の料理を身近で観察し続けていた彼は、簡単な料理なら自分一人で作ってしまえる。

私はサクサクのアップルパイを切ってお皿に載せ、隣の部屋にある応接用の長椅子に座るシリルとアルフィの前に置いた。

「わあ、おいしそうですね。朝から働きづめだったので、甘いものは嬉しいです」

アルフィもご機嫌だ。あっという間にアップルパイを平らげてしまった。

「恋人の手作りが頻繁に食べられるなんて、夢のようだよ」

お試しの恋人とはいえ、そういう扱いをされるのは照れる。

それでも、シリルが嬉しそうなので、差し入れを持ってきて良かった。
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