追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「大げさですよ。いつでも食堂で料理を出しますから。テイクアウトまでは手が回らないので、こういうのは休日だけです」

「うん、嬉しい」

シリルは隣に座る私を抱きしめた。整った顔を近づける彼に、間近で見つめられ、自分でも顔に熱が集まるのがわかる。

――どうしてしまったの、私……! シリルとくっつくのは。これが初めてではないでしょ!?

自分のことなのに、今の現象が理解できない。シリルは慌てふためく私を気にすることなく、いつもどおり朗らかだ。

お茶の時間を終え、シリルたちが仕事に戻ると同時に、彼の部下たちが駆け込んできた。

「キーランから寄越された誘拐犯の魔族を、新たに捕らえました。しかし、その……」

執務机に着いたシリルが、赤い双眸を部下に向ける。

「なんだい? 言ってみてよ」

シリルはどこまでも冷静だ。彼を見ていると、かつてのフレディオに通ずるものを感じる。

やっぱり親子だな……
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