追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「リマ、やめるんだ! 魔族に近づくのは危険だ!」

「エマさえなんとかすれば、大丈夫よ」

何が大丈夫なのだろう。リマが執事に勧誘しようとしている相手は、モフィーニアの魔王なのだけれど……

知らないとはいえ、リマの行動は問題がありすぎる。

今回ばかりは、フィリペが正しい。

「早くエマから離れて。聖女は魔族にとって危険な存在なのよ。酷い目に遭わされてしまうわ」

リマは特大のブーメランを放ってきた。

……もうすでに、魔族はキーラン国に酷い目に遭わされています。

まだ諦めないリマは、なんとシリルの腕にすがりついた。命知らずにも程がある。

「ねえ、お願いよ。あなただけは助けてあげるから」

シリルは無表情のままリマの手を振り払った。

「触るな」

そう言って、シリルは金の棒を取り出し、それを容赦なく起動させた。リマの額に隷属印が刻まれる。

「ひっ……!」

ようやく事態に気づいたリマが、ぺしゃんとその場に尻餅をついた。

「金輪際、エマに近づくな」

それだけ命じると、シリルは次々に謁見室にいた人間へ隷属印を刻んでいく。

「ひいっ! やめろっ!!」

「なんでよ。なんで、わたくしまで!」

私の元家族は謁見室を逃げ出そうとしていたけれど、間に合わず隷属印の餌食になった。

「兵は、兵はまだかっ!」

国王は為政者の仮面をかなぐり捨て、慌てふためいている。

残念ながら、兵士は来ない。外で仲間の魔族たちが食い止めてくれているからだ。
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