追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
シリルはついに、フィリペや国王にも隷属印を刻んでしまった。やりたい放題している……

「お前たちも、二度とエマに関わるな。そして、全ての魔族を傷つけるな。我が国に敵対しなければ命までは取らない。しかし、我々を害そうとすれば、呪いにより命を失うだろう」

国王は「不敬だ!」と言って、顔を真っ赤にさせていた。

「不敬なのはどちらだか」

シリルがため息をつくと同時に、扉からアルフィとテオが入ってくる。

新たな魔族の登場で、謁見室は恐慌状態に陥った。

「お待たせしました、シリル陛下。キーラン城の兵士たちは全員鎮めましたよ」

「鎮めたというか、床で伸びているというか。聖女様、無事で良かったっす!」

アルフィの陛下という言葉に、謁見室がシンと静まりかえる。

そういえば、シリルは名乗っていなかったっけ。

今さら、そのことに気づくなんて、私もかなり緊張していたようだ。

「……陛下って? 魔族が陛下と呼ぶ相手なんて、魔王くらいなんじゃ」

「嘘だろ。こんなに若いのか? 俺と同じくらいの年齢じゃ……」

フィリペとリマが揃って床に尻餅をつき、シリルを見上げながら震えている。

若く見えるだけでシリルは百歳だけれど、就任当初は十代だったからね。

フィリペやキーラン王より、ずっとしっかりしていると思う。

シリルは興味なさげに金の棒を眺めていたが、やがて何かを決意したように呟いた。

「そもそも、こんなものがあるからいけないんだよね。よし、魔族の脅威は破壊しよう」

言うと、止める間もなく金の棒を真っ二つに折ってしまった。素手で。

「シリルー!?」

「これで、エマが呪いにかけられることもないね。安心、安心」

「聖遺物、壊しちゃいましたね……」

「こんなもの、聖遺物でもなんでもないよ」

「いや、あなたがこっそり保管していた私の着替えより、よほど聖遺物らしいと思いますよ」
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