追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
破壊され、床に落とされた金の棒は、シュウシュウと音を立てて白い煙を出し、やがて消し炭のような真っ黒の塊になった。その塊も崩れてサラサラの砂のようになり、謁見室の絨毯を汚す。

「アルフィ、聖遺物を破壊したら、命令の効力って、なくなっちゃうのかな?」

「……さあ、どうなんでしょうね? そこの人間を使って試してみたらどうです?」

部屋にいるキーラン組の全員が「ひいっ!」と震え上がった。

もはや、抵抗する気すらないようで、ただこちらを怖がっている。私の前では、あれだけ強気だったのにね。

シリルはそんな彼らを冷たい目で見返す。

「キーラン国にある異世界人の召喚資料は百年前に密偵を派遣し、全て燃やし尽くした。召喚師のスキルを持つ者にしても、方法がわからなければ誰も召喚できないよね? お前たちは、モフィーニアに敵わない。無駄なあがきは止めて、大人しく国内だけで過ごすんだね」

「そ、そんなっ! もう聖遺物もない。我々は、魔族に屈するしかないのか!?」

「アルフィ。エマを連れて行くから、あとのことは任せた」

「承知いたしました、陛下。ということで、キーランは今から、我がモフィーニアの属国になりまーす」

シリルやアルフィが城の人間たちを血祭りに上げなかったのは、このことがあったからなんだよね。

これが、なるべく人を殺したくない私と、キーランに怒り心頭の魔族たちとの妥協点だった。

謁見室には、もう何度目かもわからない、国王や王子、元家族たちの叫び声が響いた。
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