追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
十一月十日
城に連れ戻されてしまったわ、脱走失敗。監視が強化されて、もう逃げられない。
今度は人間の国との戦争へ行けですって。
せめて、攻撃系のスキルがあればいいのに、聖女のスキルは治癒と解呪と結界だけ。
自分ために使えるスキルが一つもないなんて、なんて役に立たない職業なの!
私はもう駄目ね。この日記は隠しましょう。
どうかこれを見つけた次の異世界人が、逃げ出せますように。

日記は、このページで途切れている。スミレは膝に閉じた日記帳を置いた。

先ほどから、震えが止まらない。彼女はどうなったのだろう。

真相はわからないけれど、今のままでは自分も同じ道を辿ってしまう。

いや、スミレに用意されているのは、もっと最悪なシナリオだ。

「だって、私は……聖女ですらない」
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