追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
怖くていても立ってもいられなくなったスミレは、持ち物をまとめて城を抜け出そうとする。

しかし、階段を下りたところで、見張りの兵士に呼び止められた。

「聖女様、どこへ?」

「さ、散歩よ。ずっと部屋にいたから、体が鈍っちゃって」

「なら、護衛も兼ねてご一緒します。危険があってはなりませんから」

――護衛じゃない、監視だろ!

スミレは叫びだしたくなった。日記の中身が急に信憑性を帯びてくる。

「大丈夫ですって、すぐそこですから!」

そう言って、スミレは白い大理石が敷き詰められた城の廊下を走りだす。

「聖女様!」

呼び止める声を無視して、スミレはひたすら外へと向かって廊下を駆け抜けた。

しかし、あと少しで庭に出られるというところで、後ろから伸びてきた手に片腕を掴まれる。振り返ると、微笑みを浮かべた王太子が立っていた。
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