追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「ありがとうございます」

「気になることがあれば、なんでも言ってね」

そう言われた私は、部屋の中を見回して彼に質問する。

「シリル。この部屋って、キッチンがついているんですね」

「うん。ほとんど使っていないけれど、一応機能すると思うよ。城の料理人に頼んで食事を運んでもらう方が早いけど」

「キッチン設備の使い方を知りたいのですが、誰か詳しい方を紹介していただくことは可能ですか?」

「それなら、僕が教えるよ。簡単だから見ていて」

王族なのにシリルはキッチンが使えるみたいで、全ての機能を教えてくれた。

操作方法は異なるものの、水道やコンロやオーブンなどは日本のものと変わらないみたいだ。

竈で火をおこす必要もなく、魔石というアイテムの力で家電のように動く。冷蔵庫に冷凍庫まであるのには驚いた。

「ありがとう、シリル。これなら、使えそうです」

「エマ、料理ができるの?」

「趣味なんです。前にいた世界では、店で調理を担当していましたから」

「そうなんだ! エマの料理、食べてみたいなあ」

キラキラと赤い目を輝かせながら、いつの間にか獣姿になったシリルが言った。

上目遣いのモフモフに、私はあっけなく陥落する。

「いいですよ。でも、材料がないですよね」

「食料庫の食材を分けてもらおう! 料理長に確認しなきゃいけないけど」
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