追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
食堂を開店して少し経った頃、とある事件が起こった。

店の中に突如、謎の小さなモフモフたちがたくさん現れたのだ。

小さな犬や猫や兎など種類は様々で、頼んだわけでもないのに、勝手にお客の案内をしてくれ、注文や会計が必要な際は呼びに来てくれる。

四本足で動物のような動きをする者もいるし、器用に二足歩行で歩く者もいた。

「この子たちは一体なんなの……?」

戸惑っていると、偶然食堂を訪れたシリルが教えてくれた。

「人型を取れない下級魔族たちだよ」

下級魔族というのは、全体的にスキルが低く、人に擬態できるほど魔力を持たない魔族のことを指すらしい。力を蓄えて、中級、上級に進化していく者もいれば、一生を下級のまま過ごす者もいる。

「この子たちも魔族!? 勝手に働き始めている子もいますけど……これは大丈夫なのでしょうか?」

「構わないよ。下級魔族は上級魔族のような働き方はしないけれど、好奇心旺盛で面白い物好きだから、食堂に興味を持ったんじゃないかな。ご褒美に食べ物でもあげれば喜ぶと思うよ」

「可愛い……」

「僕の方がモフモフだけどねっ! なんと言っても毛艶が違うよ」

「小さいのに一生懸命手伝ってくれて、お利口さんですね」

「僕の方が賢いし」

なぜ、シリルは小さなモフモフに張り合うのか……

少しすねている彼は、とても可愛かった。
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