追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
そんな風に穏やかに月日が過ぎて、一年後――

城にいる色々な人に話を聞き、私はかなり魔王城に慣れていった。

ただ、一つだけ不安に思うことがある。

モフィーニアが、度々他国から攻め入られることだ。

キーラン以外の人間の国もモフィーニアを狙っていて、酷いときには異世界召喚で呼び出した人間を送り込んでくる。

異世界人は特殊なスキル持ちが多く、魔族側は苦戦していた。

フレディオ曰く、この状況は以前からずっと続いているとのこと。

モフィーニアは、人間の国と魔族の国とのちょうど境目にあるため、これまで幾度となく狙われてきた。モフィーニアさえ突破すれば、他の魔族の国にも到達できるのだ。

国の立地は変えられないし、フレディオたちには抵抗するしか選択肢がない。

今のところ、毎回敵を追い返しているけれど、このところ襲撃が続いてフレディオは疲れている様子だった。

「何か、私に手伝えることはありませんか? 治癒や解呪、狭い範囲なら結界も張ることができます」

たまたま食堂を訪れた彼に、私は協力を提案してみる。

「しかし、君はこの国とは無関係だ。客人に頼るわけにはいかない」

「私はモフィーニアの人々に感謝しています。人間だけれど、ここの国民になりたい。城の部屋や店をお借りしている身で、言えたことではありませんけど。でも、客人ではなく身内として役に立ちたいんです」

「エマ……」

フレディオは苦しげな顔になった。彼としては、少しでも戦力が欲しいだろう。

恩を売った私を利用することだってできるのに、彼は今の状況でも全く頼ってくれない。
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