追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
反論する間もなく責められ続けていると、フィリペが高らかに宣言した。

「今日を以て、俺はこの呪われた女との婚約を破棄する! そして、リマを新しい婚約者とする!」

場違いな婚約破棄宣言、そして新たな婚約宣言に異を唱える者はいない。

それどころか、全員がフィリペとリマを祝うような空気だ。

「まあ、嬉しい! フィリペ様、ありがとう!!」

妹と両親は、にこにこして喜んでいる。

――何、この流れ……気味が悪い。

王子が毒殺されかけたというのに、どうして皆ここまで平然としているの?

城からついて来た王子の部下や護衛の兵士たちも全く慌てていない。混乱しているのは、自分だけだ。

「どうなっているの?」

注意深く全員の表情を見て、私はようやく今の状況を理解した。

――ああ、これは茶番劇だったんだ。

私を追い出し、妹を王子の婚約者にするための三文芝居で全員がグル。

馬鹿みたいに何も知らないのは、最初から私だけだった。その事実に乾いた笑いが漏れる。

王子の毒殺未遂、婚約破棄と新たな婚約、私の断罪。

それらは、ここにいる全員の利害が一致し、彼らによって仕組まれていたことで……なんの力も持たない私には、到底覆せない出来事だった。

企みの成功を確信したフィリペは、にやりと笑って、壁際でうずくまる私の腕を乱暴に掴む。

「おい、こいつは大罪人だ! 反逆罪を犯した者は、処刑されなければならない! この犯罪者を牢屋へ連れて行け!!」

彼の声を合図に、兵士が私を取り囲んで拘束する。

床に膝をつかされ、強引に後ろ手に縛られた私を見て、リマが愉悦に満ちた笑みを浮かべた。

「あはははは、いい気味! これで、やっと邪魔者が消えたわ。私と殿下の想いが成就するのね!! ずっと目障りだったのよ!!」
< 88 / 211 >

この作品をシェア

pagetop