追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「ここは、キーラン国の処刑場?」

物々しい雰囲気の兵士が大勢うろついており、貴族らしき太った人間が大声で怒鳴り合っている。

「罪人の女が逃げたぞ! 追え!」

「結界が張られていて、ここから先へは進めない! 別の道を行く!」

「聖女しか使えない結界を張るなんて、何者だ!? なんとしても連れ戻せ! 聖女だとすれば、ますます逃がしてはならん!! 大昔に召喚されたきり、我が国に聖女のスキルを持つ者はいないのだからな!!」

ひときわ目立つ豪華な席の上で、キーキー怒鳴る派手な男女もいた。キーラン国の王族だろうか、百年前と変わらず醜悪な性格をしていそうだ。

「早くしなさいよっ! 大罪人を捕らえるのよっ!!」

「あいつは、呪われた女だ! 野放しにすれば、何をするかわからん!」

光魔法や結界を使った者は、現在逃走中でここにはいないらしい。そして、聖女かもしれないと騒がれている。

「聖女……まさかな……」

はやる気持ちを抑えながら、シリルはさっさときびすを返す。

そんなはずはない、聖女だからと言ってエマであるとは限らない。

――でも、希望を捨てきれない。

「どこだ? せめて、もう一度光魔法を使ってくれれば、居場所を割り出せるのに」

人間たちよりも前に、彼女を見つけ出す必要がある。

すると、思いが通じたかのように、離れた場所でエマの光魔法が使われる気配がした。
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