追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
※
風魔法をなんとか解除した私――エマは、見慣れない薄暗い路地に降り立っていた。
住んでいた貴族街と真逆の方向へ飛んだものの、埃っぽい道の両側に狭くて小さな家々が並んでいる様子は、前々世のテレビで見たスラムそのもの。それより酷いかもしれない。
「キーランにも、こんな場所があったのね」
前世でも今世でも、全く知らなかった。
ともかく、早くこの場所から出た方が良さそうだ。
同じ場所でじっとしていると追っ手が来るかもしれないし、スラムは治安が悪いことが多い。素行の悪い輩に絡まれては大変だ。
しかし、少し進むと心配したとおりになった。背の高い、破落戸らしき男たちに行く手を阻まれてしまう。
「お前、ここの人間じゃねえな」
「なんだ、その目は……魔族なのか? どちらにしても珍しいから売れるかもしれないな」
相手は三人、こちらは一人。私のスキルを使えば、きっと逃げ切れる。
ずっと自分は無力だと感じていたけれど、どういうわけか、前世のスキルが使えるようになった。
――ありがとう、フレディオ。
彼は、私が普通の人間として幸せになることを望んでいた。聖女やら異世界人やら、そんな肩書きが重荷にならないように。
だから、真の危機に直面するまで、スキルが発現しなかったのかもしれない。
キーランの庶民はスキルがない場合も多いし、持っていても一つくらいだという。
貴族のリマたちでさえ、大して強くもないスキルが四つ程だと言っていた。
風魔法をなんとか解除した私――エマは、見慣れない薄暗い路地に降り立っていた。
住んでいた貴族街と真逆の方向へ飛んだものの、埃っぽい道の両側に狭くて小さな家々が並んでいる様子は、前々世のテレビで見たスラムそのもの。それより酷いかもしれない。
「キーランにも、こんな場所があったのね」
前世でも今世でも、全く知らなかった。
ともかく、早くこの場所から出た方が良さそうだ。
同じ場所でじっとしていると追っ手が来るかもしれないし、スラムは治安が悪いことが多い。素行の悪い輩に絡まれては大変だ。
しかし、少し進むと心配したとおりになった。背の高い、破落戸らしき男たちに行く手を阻まれてしまう。
「お前、ここの人間じゃねえな」
「なんだ、その目は……魔族なのか? どちらにしても珍しいから売れるかもしれないな」
相手は三人、こちらは一人。私のスキルを使えば、きっと逃げ切れる。
ずっと自分は無力だと感じていたけれど、どういうわけか、前世のスキルが使えるようになった。
――ありがとう、フレディオ。
彼は、私が普通の人間として幸せになることを望んでいた。聖女やら異世界人やら、そんな肩書きが重荷にならないように。
だから、真の危機に直面するまで、スキルが発現しなかったのかもしれない。
キーランの庶民はスキルがない場合も多いし、持っていても一つくらいだという。
貴族のリマたちでさえ、大して強くもないスキルが四つ程だと言っていた。