私の罪
りょうと至近距離にいても公共の場では彼と気軽に話すこともできないし、彼に触れてもらうこともできない。

それがお互い分かってるから早く目的地に着けば良いのにと思って無言になる。

そして、やっと上石神井駅に着いた。

都内の住宅街のようなのどかな駅に着いただけなのに、これほどまでにワクワクし、ドクドクと心臓が鼓動したのは初めてだった。

駅の前のロータリーはせまく大きなバスが曲がるのに苦労をしていた。

人の数も車も多い割に、道が狭いので、歩道の上を彼の後ろに付いて行きながら歩いていても怖く感じた。

餃子屋の前で左に曲り、細い通りの中に入った。

そこで待っていましたというようにりょうが私の手を握った。

「ちょっと!」

私が小声で彼を制すると「大丈夫だよ。ここ、人通りが少ないし。それにもうちょっとで着くし」と言われたので私は押し黙り、彼の言うことを素直に従うことにした。

ある綺麗なマンションの前で私達は立ち止まった。

ここが彼とお父さんが住んでいるマンションだった。

自動ドアが開くと、彼は郵便受けの中を確認し、中に入ってるどうでもいい広告を全て近くのゴミ箱に捨てて、オートロックを解除して、2回目の透明ドアが開いた。

そして、私達は手を繋いだままエレベーターに乗り込んだ。

ーーーー

カラオケ店で彼にお願いしたことは4つあった。

1. 警察にバレないように徹底すること

2. 警察に疑われたときに言うこと

3. バレてしまった時に言うこと

4. 行為の後、りょうが向上していくこと

まず、一つ目は「警察にバレないように徹底する」こと。

人に見られないように少し距離を置いて歩くこと。

コンドームを使うと周辺のゴミを調べられたときに証拠として残ってしまうため使わないこと(外出しすること)。

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