私の罪
ここまで一気に話すと私は閲覧者のコメントを確認した。

「それは詭弁だ!」

「法律が正しいんだ!」

まぁ、そのようなコメントが寄せられてきていた。

「法律が正しいですって?」

私は、ホワイトボードに書いてあることを消すと今度は違うことを書き始めた。

『真摯な恋愛感情に基づく性行為やわいせつな行為は 、「心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う」とはいえない』

「一番最初に言いましたが、まず私は未成年に「淫行」をしてないです。なぜなら、それが「恋愛感情に基づく性行為」だからです。とはいえ、世間的には婚姻関係という条件を満たす必要があるようです。
しかし、「愛」という偉大なものを推し量ることができないのに、なぜ「婚姻関係」という尺度で決められなければならないのでしょうか。
本当の宇宙の広さが分かってから、そのようなことを言ってほしいですね」

私はまた、一旦話すのを止めるとまた携帯の画面を覗き込んだ。

「マジ、発言がうざい!」

「ってか、いい加減罪を認めろ!」

「お前が何を言っても法が正しいんだ!」

と、いうようなことが次から次へとコメントされていた。

「法が正しい?罪を認めろ?」

私は、思わず笑うと「えぇ、認めますよ。私の罪はこの時代に生まれてきてしまったことです」と言った。

「昔に比べたら今はだいぶ生きやすい時代になってると思いますよ。昔は『身分の差』とかくだらない定めがありましたものね。でも、なんで今は身分の差がないのでしょうか?それは誰かが『人は生まれながらにして平等』って言ったからです。
歴史を見てください。100人殺したら英雄、1人殺したら殺人者って倫理がコロコロ変わってきてるんですよ。法律だってそのうち変わりますよ。
私はね、生まれてくるのが早すぎたんです。あと、45年くらいしてから生まれてたら、きっと年齢や種に制限されることなく自由な恋愛ができてると思いますよ」

そしてまた、話すのをやめると携帯の画面を覗き込んだ。
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