獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 数歩先を行くマクシミリアン様から声をかけられた私は、元気よく返事をして彼に続く。そうして油断すれば綻びそうになる口元を引き結び、後ろの特等席から左右に揺れる尻尾を観察した。
「……それにしても、やけに肉屋が多いな?」
 キョロキョロと市場内を見回したガブリエル様が、ぽつりと口にする。
「我らは白虎を祖とするからな。魚も野菜もなんでも食うが、今でも肉の消費量は総じて多い。見た目の特徴が廃れても、本質的なところはそうそう変わるものではない」
「ははーん。たしかに、お前の本質的なところは実に獣チックだ」
 マクシミリアン様のこの説明に、何故かガブリエル様はニンマリと口角を上げた。ちょっと悪い笑みと引っ掛かる物言いに、私は内心で首を傾げる。
 ……マクシミリアン様の本質が獣チックって、なんだろう?
< 145 / 320 >

この作品をシェア

pagetop