獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 ガブリエル様は、両手にほかほかと湯気があがる揚げたてのコロッケを抱え、満足げにコロッケ店を後にした。
 私とマクシミリアン様は目と目で頷き合って、ガブリエル様に続く。
「ガブリエル様、そちらは一旦僕がお預かりします」
 私は、ガブリエル様がコロッケをふたつほど食べたところで手を止めたのを見て、紙袋を引き取った。
「お兄さん、極上の絹織物だよ! よかったら見てっとくれ!」
「どれ」
 その後も朝市の店店を見て回るガブリエル様は終始楽しそうだった。
 視察の上々の滑り出しにマクシミリアン様は尻尾を揺らし、その表情もにこやかだった。


 和やかに朝市の視察を終えた私たちは、次に中央公園に向かった。
 晴天の空の下、広大な中央公園の随所に設えられた花壇には季節の花々が咲き誇り、美しく整備されていた。ベンチから花を眺める人、歩行路に沿って散策する人、芝生の上で様々な遊びに興じる親子連れ、そんな多くの人々でにぎわっていた。
 どこかに風船売りが来ているのだろう、カラフルな風船を手にした子供たちの姿も多く見受けられた。
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