獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 ノックの後、公園の管理責任者がタオルと着替えを手に脱衣所に顔を出す。扉の外で待機していた俺の警護担当者も一名が共に入室し脇に控えた。
「こちらをお使いくださいませ」
「すまんな」
「とんでもございません。それよりも、お忍びとの指示を受けいつも通りの公演運営を心掛けてまいりましたが、陛下の見事な跳躍が脚光を浴び、それによって一部の者たちがマクシミリアン陛下の存在に気づいてしまったようです」
「目立つような行動を取ってしまったのはこちらだ、それも仕方あるまい」
 決して芳しい状況ではないが、そもそも身バレの切欠を作ったのは俺自身だ。ガブリエルには私服警護官を多く付けており、安全上も問題はない。
「それが、最初に噴水前で陛下を称える声があがったのを皮切りに、あっという間に同様の声が公園中に広まりまして。今や公園中が陛下の来訪に沸き上がっております。ここの運営事務所の前にも陛下をひと目見ようとする人々が大挙して押し寄せております」
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