獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 ……明るい未来に繋がるラストだといいのに。
 これはガブリエル様を観劇に案内すると聞いた時にも、思っていたことだった。
「ご存知の通り、今公演はアンジュバーン王国のガブリエル陛下が観劇されます。国交の正常化を目指し、対話の席に着こうとしている陛下に観ていただくには、未来に繋がる明るいラストが相応しいのではないかと」
「私も、そう思っておりました! もちろん古典作品としての完成度や、観る者の心に余韻を残す悲しくも儚いラストの素晴らしさは理解しています。けれど、アンジュバーン王国と新たな展望を拓こうとしている今は、違う解釈があっていいのではないかと考えます」
「自分も同じことを考えていました!」
「私もです!」
 私の意見に、まずヒロイン役の女優さんが、次いで他の出演者たちも次々と賛同を示す。声は舞台上を波のように広がっていった。
「静かに! 皆、聞いてくれ」
 ざわめきを割ったのは、舞台袖から進み出てきたオリバーさんだった。皆の視線が彼に注ぐ。
「今公演のラストを修正する」
 オリバーさんの言葉に、舞台上がワッと沸き上がる。
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