獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
「修正台本を間幕までに仕上げる! 間もなく幕が上がる。ラストシーン以外に変更はないから、各自持ち場につき上演に備えろ!」
「「はい!」」
 続くオリバーさんからの指示で配置へと向かう各々の表情は明るかった。
「ではヴィヴィアン様はこちらへ! お着替えと化粧をお手伝いいたします!」
「お願いします!」
 出演までに支度時間は僅かだ。衣装スタッフに手招かれ、大急ぎで駆け出した。
「ありがとう、ヴィヴィアン殿!」
 背中に声をかけられて振り返ると、オリバーさんが真剣そのものの目で私を見つめていた。
「私は君の言葉で目が覚めた。舞台作品というのは制約が多く、中でも歴史ある作品の話筋を変更することはタブー視されていた。しかし、そういったしがらみを別にすれば、私も今公演のラストはこれではないと、ずっと考えていたんだ。私の仕事は観る者に最高の舞台作品を届けることだというのに、その初心を忘れかけていたようだ。君がそれを思い出させてくれた。この上は、最高のラストに仕上げてみせる!」
「楽しみです! 一緒に最高の舞台を作りましょう!」
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