獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 オリバーさんは力強く頷いて答える。私たちはそれぞれの役割を果たすべく、走り出した。

***

 思いの外、ヴィヴィアンの戻りが遅かった。
 ホスト役の俺がガブリエルを残して彼を捜しに向かうことも憚られ、気にしつつも表面上は穏やかに食事と会話を進めていた。
 そうしてメーン料理の一皿目・魚料理が配膳される段になり、レストランのエントランスに予期せぬ人物を認めた。
 ……あれは、支配人か?
 初めはガブリエルへの挨拶だろうかとも思ったが、予定にない上に、わざわざ食事の最中にやって来る無作法など普通に考えてあり得ない。
 ……まさか、なにかトラブルではあるまいな。
「ガブリエル陛下、申し訳ないが少々失礼する」
 ひと声断って席を立ち、エントランスに向かう。案内役の女性はチラチラとこちらを気にしていたが、俺が「君はそのままで」と目配せすると、そのまま席にとどまった。
「マクシミリアン陛下、お食事中に失礼いたします。ヴィヴィアン様の件でお伝えしておきたいことがあり参りました」
「こちらで聞こう」
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