獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
「何故、性別を偽り男の振りをしていた? ……もっとも、お前の生家の実情を鑑みれば、聞かずとも家督の継承絡みであろうと察しはつくがな」
「っ、申し訳ありません! それから、この一件に実家は関係ありません。これは全て私の一存で決めたことです」
 マクシミリアン様の続く言葉で実家のことに思い至り、私は弾かれたように訴えた。
 私のあまりの取り乱しように、マクシミリアン様は虚を突かれた様子だった。私は構わずに平身低頭の勢いで続ける。
「私、なんでもします! マクシミリアン様の仰せのまま、どんなことでもしますから。どうか、実家への処罰だけは許してください!」
 マクシミリアン様の目が、私が『どんなことでもします』の一語を告げた時、怪しげにキラリと光る。
 必死に謝罪を繰り返す私には、それが一体どんな感情に起因するものなのか知る由もない。
「……その言葉に二言はないな?」
「もちろんです!」
 長い溜めの後でもたらされた重々しい問いかけに即答すれば、マクシミリアン様はゴクリと喉を鳴らし、喉仏を上下させた。
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