声と性癖
何を言っているのか、分かっているのだろうか。

思い当たることがあるとすれば、結衣の感応性の高さ。

どういう環境で身についたものか分からないが、結衣は、相手の言葉や、それ以外のものから、相手の状況を察することに長けている。

相手のことを自分の事のように、感じて察する能力が非常に高い。
だからこそ、非常時に対応する保険会社に向いているのだとは思うが。

蓮根が結衣を分析して思うのは、感受性が豊か、ということだ。

おそらく、最初の電話の時、蓮根が結衣の何を聞いていたのか自然に汲み取っていたのではないか、と思う。

『声』を聞いていた蓮根。
その『声』を聞かれている、ということに反応した結衣。

だから、急に蓮根が発する声を聞こうとしている自分が、訳分からなくて、こんなことを言い出しているのではないのか。

もちろん蓮根自身は、意識的に結衣を落とすことに全力を傾けている。
その蓮根の全力の声に、結衣は反応しているのではないのだろうか。

本当に、こんな子がほとんど無垢な状態で今、ここにいるなんて考えただけでも、ぞくぞくする。

蓮根自身も観察力に長けていることには実は自信がある。
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