声と性癖
それならば、少し試してみたい。

恐らく結衣ならば、言葉だけで想像させるだけで、官能を呼び覚ませることが出来るはずだ。

だからそれを確認したくて、敢えて、微に入り細を穿ってキスをせずにその感覚だけを説明し、何度もキスをしていいか、聞いた。

結衣は蓮根が思ったよりももっと、想像力豊かだった。

車の中で潤んだ目をして、ふっ…と声を漏らした時には思わず笑みが浮かんでしまったほどだ。
堪らない。

そんな顔で「どうして、聞くのっ?」と聞いてくる。

それは、あなたが僕の声でどこまで感じられるのか確認するためですよ、とは言えない。
間違いなく引かれる。

だから、「秘密です。」と笑った。
「そうですね、あなたが嫌がることは、したくない、と言いますか。」

そう、まずはそこだ。

男はそのイヤ、が本気なのか、ポーズなのかを見極めなくてはいけないのだ。
さらにどこまでなら押せるのか、引き際はどこなのか、その判断も必要になってくる。

恋愛には、高度な観察力と判断力も必要だと蓮根は思っていた。
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