警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

じゃないと部下の、それも他部署の私のミスをフォローをした上に褒めてくれるわけがない。

初対面は感じ悪くて最低だと思ったけど、それ以上に私は失礼な態度をしていたのかもしれない。

変に目立ちたくないという自己保身が頭にあって、握手を躊躇ったり必要以上に距離を取ろうとしていた。

今思えば、私の方が断然感じが悪い。

「それと……すみませんでした」

なんて言ったらいいのかわからなくて、いきなり謝罪の言葉しか言えなくて。

それでも伝わったのか、そう言えばみたいな顔をしたのをすぐに隠して「なんのこと?」とはぐらかされてしまった。

それが天野さんの優しさなのか、本当に謝られる心当たりがないのか。

わからないのがなぜか悔しくて。

口を開こうとしたら先に向こうが小さく告げた。

「もう少しで自分の部署に帰れるな」

そうだ。ずっと早く帰りたかった。居心地のいい庶務に。

毎日同じことの繰り返し。穏やかな日々。

『一緒に仕事してて楽しくなっちゃって』

松本さんの言葉が頭をよぎる。

そうやってこの企画部の人たちは毎日仕事を楽しんでいるんだ。

天野さんの側で――――。

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