警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

とはいえ参加しているのはプロジェクトチームだけではなく、新店舗の話を聞きたい企画部の人たちも混ざっている。

祝賀会と言うよりはほぼ単なる飲み会。

もちろん私を蛇蝎のように嫌っている美山さんを含めた女性社員も参加して、天野さんと同じテーブルをキープしていた。

そんな彼女たちから天野さんは微笑みながらお酌を受けていて、なんだかんだまんざらでもなさそうな様子を、私は遠くのテーブルから見つめるだけだった。


「あっ! ハッチーが帰ろうとしてる!」

意外とお酒に弱いのか、酔ったキヨが絡んでくる。

「ごめんね、キヨ。私は今日はこれで……」

そもそもこんな大勢の飲み会に参加する気はなかったのに。

そう言ったところで、この目の前の酔っぱらいには届かないんだろうな。

承認が下りた昨日、私は総務部長に呼ばれ、プロジェクトのきりがついたのなら来週の月曜日から庶務に戻るようにと言われていた。

毎年三月の株主総会の準備は、年の瀬で忙しくなる前に始めるのが通例だ。総務部の十一月から三月は忙しい。

だからもうこのプロジェクトチームともお別れ。

月曜日に仕事前に挨拶だけしよう。そう考えて定時でそっと帰ろうとしたことろを、松本さんとキヨにエレベーターホールで捕まってしまい今に至る。

「天野さーん」

キヨが天野さんを呼ぶと、振り返った彼がこっちを見て険しい顔で近付いてきた。

< 30 / 161 >

この作品をシェア

pagetop