【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
棗さんが優しく肩を叩いてくれる。わたしは勇気を振り絞ることにした。
「……棗さん、話したいことがあります。聞いて、くれますか?」
「ああ。ちゃんと聞く。だから話してくれないか?」
棗さんのその優しい言葉、その微笑み、その表情。全部が心地よくて、温かくて。とてもありがたい存在だなと思った。
「……実は、わたし……」
変に緊張して、言葉が詰まる。だけど勇気を振り絞った。
「……聖良、ゆっくりでいい」
手を優しく握ってくれる棗さんの優しい温もり。これが幸せなんだと感じる。
「わたし……。お腹に、赤ちゃんがいるんです……」
ようやく言えた。ずっと言えなかった真実を。ようやく、直接話すことができた。
「……え?それは、本当なのか?」
「……はい。今、妊娠2ヶ月です」
棗さんの驚いたような表情から読み取れるのは、きっと妊娠したという事実をどう受け止めればいいかだ。それはわたしも同じだ。