【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜





 「ん……棗さん……」

 棗さんの唇が離れると、わたしは急に恥ずかしくてなって。だけど棗さんは、そんなわたしを見て一言゛可愛い゛そう言った。

 「棗さん……。お風呂、入らないと……」

 「そうだな。風呂に入らないと……」

 「はい。……着替え、用意しますね」

 「聖良、一緒に風呂に入ろう」

 着替えを用意しようとした時、棗さんがいきなりそう提案してきた。わたしは思わず、その言葉に振り返ってしまった。

 「……えっ」

 「なんだ?イヤなのか?」

 「え、えっと……。その、イヤと言うわけではないのですが……」

 今まで一緒にお風呂に入ったことなんてなかったから、そう言われると緊張する。それにきっと、ドキドキしてしまって……。

 棗さんの顔を見れないに決まっている。

 「じゃあなんだ?」

 「だ、だって……。恥ずかしい、ですし……」

 「お前の裸は何回も見てるのに、何がそんなに恥ずかしいんだ?」

 「へっ……!」




 
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