偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
祖父は菓子店に乗り込んで話を着けようとしたが、金森は動じることなく、祖父にこう言い放った。
『言われなくとも、欲しかったものはもう手に入れたから、二度と関わることはない』
含みのある言葉が解せなかったが、宣言通り、金森と祖母はそれから関わりを絶った。
それからというもの、祖母は、祖父の好物だった白い菓子を作らなくなった。どんなに食べたいとせがんでも『ごめんなさい、もう作れません』と断るばかり。
なぜ作れなくなったのか不思議に思っていると、開業した『カナモリ菓子店』の店先に、その白い菓子が並んでいるのを見つけた。
『はなごころ』と名付けられたそれはたちまち噂を呼んで大人気商品となり、カナモリ菓子店は創業から数年で町を出て都会に進出するほどの大企業に変貌していった。