偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
──過去を思い出していると、目の前の黒いモニターに背後の寝室の扉が写り、ハッとした。
寝室の凪紗の泣き声がやんでいる。
眠ったのか? いや、天然だがこの状況で眠れるほど図太くはないはずだ。
放っておけばいいものの、俺はチェアーから腰を上げ、背後の扉を開ける。
「凪紗、入るぞ」
ノックとともに部屋に入ると、凪紗はベッドに腰掛け、泣き腫らした目をした顔を上げる。
てっきりまた瞳を潤ませるか、それとも俺に怯えるかと思っていたのだが、彼女はただこちらを見つめるだけだった。
「ラウンジに行けるか? 食事にしよう」
「……いいです。お腹すいていません」
俺はつい大きく舌打ちをした。
そんなに痩せて、どういうつもりだ。体調を崩されたらこっちが困る。