偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
苛立ち始めた俺は、凪紗の前髪を手のひらでかき上げ、物言いたげなその瞳を睨み付ける。
「ならルームサービスを持ってこさせるから、食べろ」
「……はい」
「なんだ、ずいぶん憔悴してるんだな。俺に裏切られたのはそんなに応えたか?」
前髪を軽く掴み、上を向かせる。俺は片膝をベッドにのせ、キスしそうな距離まで顔を近づけ、挑発した。
「世間知らずで、平和ボケしたやっかいな箱入り娘。俺がわざわざ凪紗を選ぶ理由がどこにある? 今まで本気で好かれているとでも思っていたのか?」
最後まで突き落としてやる。傷ついて泣きわけめばいい。お前が呑気で笑う横で、俺はいつも復讐に燃えていた。
凪紗のことなど、好きじゃない。好きになるはずがない。