偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「……アキトくん?」

「ああ、そうだ。そのまま聞いてろ」

叔母さんちの長男、金森アキトくん。
父の跡を継ぐ予定になっている金森製菓次期社長、二つ上の私の従兄弟(いとこ)だ。

嘘でしょう、どうしてここがわかったの?

「俺が誕生日に贈ったバッグ、ここに持って来てるだろ?」

「え? う、うん」

「あれにGPSが仕込んである」

「GPS……!?」

私は椅子の背もたれを掴み、思い切り振り向いた。すると背後には予想通り、黒髪のアキトくんのうしろ姿があった。

彼は整った横顔を控えめにこちらへ向け、「静かにしろ」と小さくつぶやき、人差し指を口にあてる。
< 120 / 211 >

この作品をシェア

pagetop