偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「……アキトくん?」
「ああ、そうだ。そのまま聞いてろ」
叔母さんちの長男、金森アキトくん。
父の跡を継ぐ予定になっている金森製菓次期社長、二つ上の私の従兄弟だ。
嘘でしょう、どうしてここがわかったの?
「俺が誕生日に贈ったバッグ、ここに持って来てるだろ?」
「え? う、うん」
「あれにGPSが仕込んである」
「GPS……!?」
私は椅子の背もたれを掴み、思い切り振り向いた。すると背後には予想通り、黒髪のアキトくんのうしろ姿があった。
彼は整った横顔を控えめにこちらへ向け、「静かにしろ」と小さくつぶやき、人差し指を口にあてる。