偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
目を落としてしばらく考え、首を横に振った。
「……いい。私、冬哉さんと一緒にいたいの。家には帰らない」
「ハァー。やっぱりな。聞いたよ、本当に自分から誘拐されに行ったんだってな」
「誘拐じゃないもん」
むきになって語気が強くなる私に、アキトくんは表情を歪めて再度大きなため息をつく。
「あのな、誘拐じゃなきゃ詐欺師だよ。妊娠させられたんだろ? 私利私欲のために命を利用するなんて、どれだけ酷いことをされてるかわかってるのか?」
「わかってる。……でも、絶対になにか事情があるんだと思うの。きっと私利私欲が理由じゃない」
「どんな事情があろうとこんなやり方をする男はクソ野郎だ」
わかっている。アキトくんの言うことはもっともだ。むしろ、私は今の状態でどうしてここまで冬哉さんを信じていられるのか自分でもよくわからない。