偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「凪紗さんのこと。ちょっと話そうぜ」

本村がソファに足を組んで座ったため、俺もチェアーに腰掛け、回転して向き合った。

「なんだ」

「事務所を作ってから、俺と冬哉は長いこと一緒にやってきただろ。お前がドライだってことは昔から知ってるし、俺は冬哉のそういうところを買ってる。だから金森製菓への復讐を打ち明けられたときも賛成した」

話は見えないが、俺はうなずいた。俺も、本村にだけ話した理由はそこだ。
事務所側に協力者が必要なのは明白だったし、それなら「やめたほうがいい」と邪魔をしない性格の本村が都合がよかった。

「人生一度きりなんだから、やりたいことはやっておいた方がいいと思って協力したんだ。冬哉から『やりたいことがある』なんて相談されたのは初めてだったし、俺にはなんの損もないからな。なんなら、復讐なんてちょっと面白そうだと思っていた」
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