偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「冬哉。ビデオ通話で見たけど、凪紗さんずいぶん痩せてただろ。診てもらったほうがいい。妊娠の影響かもしれない」
「……それは本当に妊娠していればの話だろ」
感情にまかせてつぶやいた言葉は運よく本村には聞こえなかったらしく、「なんか言ったか?」と聞き返され、俺は「なんでもない」と答えた。
話を切り上げたくてチェアーの向きをデスクへ戻すと、事務所からビデオ通話の着信があったことがマークで表示されている。
「……本村。事務所から着信があるんだが、誰かいるのか?」
「え? ああ、たぶん若月がいるよ。なんの用だろうな」
若月千嘉。Y.SPACEで経理と受付を担当している、愛想がよく、客受けがいい女性社員だ。