偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「あ、俺が冬哉のところにいるとは知らないはずだから、出るなら隠れてるけど」

本村はモニターに写らないようソファから部屋の角へと移動し、壁に背を付けた。

俺はそれを確認してから、音量を調節して着信にかけ直す。
呼び出し音の後、白い壁の背景に、明るい髪色の若月が写った。

『……あ! 八雲社長。お休みのところ突然すみません~!』

ハイテンションで鼻にかかったいつもの声に、俺は「いや」と冷静に返事をする。

「なにかあったのか」

『それが、金森製菓のお偉いさんから次々に電話が来るんですよ。社長に、創業者さんに、それに次期社長さんとかからも。八雲社長は休暇中なんです~って説明してるんですけど』

「ああ、悪いな。それでいい」

俺の短い返事では満足できなかったのか、若月はカメラに向かって上目遣いをし、俺の顔を覗き込んでくる。
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