偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

内ポケットのさらに内側に、名刺サイズのさらに小さなポケットがついている。本村は俺からハンドバッグを奪い取り、かすかに膨らんだそこをガリガリと引っ掻く。

「ほら冬哉、なにか入ってる。……ん? 紙だ」

小さく畳まれた、横線の入ったメモ帳。親指と人差し指で挟み、本村がそれを俺へと差し出す。

折り目をひとつ開けると、そこには【冬哉さんへ】という文字が現れ、ドクンと大きく胸が波打った。

「手紙じゃん。いったいいつ書いたんだ? これホテルの部屋にあった紙だから……きっとレストランに行く前に、部屋で書いたんだな」

手紙?
< 189 / 211 >

この作品をシェア

pagetop