偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
おそるおそる、さらに開いてみる。
【冬哉さんへ。本村さんから聞きました。今までたくさん傷つけてごめんなさい。私がおじい様を説得して、奪ったものをすべて冬哉さんに返します。そしてもう冬哉さんが傷つかないように、私も冬哉さんの前から消えようと思います。幸せな時間をありがとうございました。きっと私の気持ちが変わることはないけれど、どうかお元気でいてください。さようなら】
──凪紗。
小さな花のような文字から、彼女の張り裂けそうな気持ちが俺に流れ込んできた。
手紙を持つ手が震える。視界がぼやけ、うまく文字が読めなくなった。
「お、おい、冬哉? お前まさか……泣いてる?」
凪紗はなにも悪くない。彼女が俺を傷つけたことなど一度もなかった。
彼女に笑顔を向けられる資格のない俺は、その顔を見るたびに苦しく、つらく感じながらも──
『私は冬哉さんが好きです』
──凪紗のことが、大好きだった。