偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
お付き合いを始めた当初、私はおじい様がこんなに冬哉さんを嫌っているとは知らなかった。
もちろん冬哉さんも面と向かって嫌いだと言われていたわけではなかったため、発覚したのはふたりで両親に交際の報告をしたとき。
そのとき、父はーー。
『そ、そうか、八雲くんと凪紗が……。凪紗はこの通り世間知らずな娘だから、きみのような男がそばにいてくれると我々としては助かるのだが、その……おじい様にはまだ内緒にしておいてくれるかな。もちろん、我々は賛成なんだが』
個人的に冬哉さんを気に入っているがおじい様の機嫌を損ねるわけにいかず、そう条件を出されたのだ。
しかし、父には悪いが、私はもう秘密の交際なんて限界だ。
門限があるのも、清らかであれという教えも我慢できる。でも、こうして身内に冬哉さんの悪口を聞かされるのだけは耐えられない。
二十三年間私を溺愛してくれたおじい様でも、理不尽に冬哉さんを貶すなら嫌いになりそうだ。