偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「……私、おじい様の言っていることが理解できません。八雲さんは素敵な方だと思います」

向かいのソファに座る父も、膝をついて茶器を並べていた母も固まり、この場はシンと静まった。

ついに言ってやったもんね。いい加減おじい様に話して冬哉さんとの交際を認めてもわらないと、いつまでも結婚できないもの。

「す、す、素敵な方だとっ!?」

おじい様はあんぐりと口を開け、髭をプルプルと震わせている。

「はい。素敵な方ですよ。建築士さんとしても、もちろん男性としても」

そして恋人としても、と付け加えようと覚悟をしたとき、修羅場前のこの家に再び〝ピンポン〟という音が鳴り響いた。

私の言葉にまだ圧倒されているおじい様は、玄関のチャイムを受けて鬱陶しそうに父に「誰だ?」と尋ねる。

父が「えーと、その……」とまごまごしだし、母は「達馬さん、もうご紹介するしかないでしょう」とため息をつく。

いいもん。こうなったら堂々と、おじい様にご紹介して差し上げるんですから。
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